1 フレーム
エンジンができあがった(ハズ)ので、路上復帰に向けて車体に手を付けることにしました。前に使っていたフレームは、7万キロ以上もお付き合いしていたことや、結構キレイだったのですが、ステアリングストッパが外れてしまったのを直すのは難しいということが判明しました。たまたま別のフレームが利用できたので、エンジンを降ろすのを機会に廃車手続きをしました。
ステアリングストッパは、三角形の鉄片で、ステアリングステムパイプの下端に横長の穴を開けて、そこに三角形の1つの頂点を差し込んで溶接して仕上げてありました。特に激しく転倒したということもなく、普通に使っているうちに溶接部分が外れてしまい、ストッパは抜けてしまいました。抜けた部品は運良くステアリングステムに引っ掻かっていたので、溶接したら直るよねと軽く考えていました。ストッパがないと、フォークのインナーチューブがガソリンタンクに当たって止まるまでハンドルが切れてしまいます。タンクに少しキズが付くのですが、とても小回りが利くようになって街なかでは結構重宝しました。が、ステアリングステムパイプには穴があいたままになり、そこから雨水が入って下のベアリングが錆る原因になります。いつかは溶接して直してもらおうと思いながら、しばらく三角形のストッパが行方不明になっていたこともあり、長いこと穴をビニールテープでふさいだまま乗っていました。
前回の車検か何かの機会に、本格的に修理しようと溶接に定評のあるバイク屋さんに現物持参で相談しました。「やってできないことはないけど、難しい作業。高熱でフレームに歪みが残る可能性がある。ステアリングにダイレクトに影響する部位なのでお勧めできない。スペアフレームがあるならそっちを活用したほうがいい」とのお見立てでした。できれば使い続けたかったフレームですが、プロの言葉で迷いが収まり、今回はスペアフレームを使うことにしました。
予備車を分解して、フレーム単体になった状態で各部をチェックしていくと、予備フレームもステアリングストッパ上面の塗装がはげていました。下からのぞくと見事にヘッドパイプ下端が変形しています。ちょっとショックでしたが、早々カンタンに直せる状態ではなかったので、とりあえず予備フレームを採用することにしました。
私のところへ来たのは2,3年前ですが、しばらく湿気の多い環境に置かれていたようで、フレーム表面に錆が浮いている箇所があります。油分が酸化してこすってもなかなか落ちない汚れもありました。ピカピカにしても乗りだしたら元のまんまとも思いまながら、掃除しだすとピカピカになることもあってしつこくやってしまいました。ひどい汚れは「ピカール」で落として、「ポリメイト」で仕上げました。ピカールの分解力は大したもので、パーツクリーナーやガソリンでもとれない、カチカチに硬化したしみもキレイになりました。
XVのフレームは、気化器とエアクリーナーをつなぐ役割もしています。気化器がつながる穴を調べていると、ゴム製のダクト状の部品が内側に入っています。前後とも抜き出してみると、立派なファンネルでした。あとでパーツカタログで確認したら部品設定もなされていましたが、今までまったく気が付きませんでした。
ヘッドベアリングを組んでみると結構ひどく歪んでいます。問題は走ってどうかなので、とりあえずこのままいくことにします。レースにはボールの当たった痕跡が出始めています。
前回に引き続いて、ヘッドベアリングにはホームセンター内では最強スペックのウレアグリスを使いました。ヤマハグリスBかなと思って缶を開けてみたら思いのほか粘度が低いです(気温のせいですが)。異種グリスを混ぜること自体タブーなことも思い出して、今回はBは見送りました。
このままエンジンに組み付けたら話が早いかとも考えましたが、ホイールがついていないと狭いガレージ内で動かすだけでも難儀しそうなので、やはりフレーム+足回りを先に組み立ててからエンジンを押し込む方針としました。もし車体の全方向に作業スペースが確保されたら、先に合体もよいような気がします。
ということでフレームコンプリートにリアアームブラケットコンプリートを合体させることにしました。2本の太いボルトで締結するのですが、ボルトと穴の隙間がユルユルです。隙間の寄せ方でセンチ単位で位置関係が動いてしまうので、ここを誤って組んだらきっとエンジンが載らないと思われます。触っているうちに、フレーム最下部にある水抜き?をクリアするためにあけられているリアアームブラケットの丸穴の中央あたりに当の水抜きが来るのが自然なように思われてきました。とりあえずその位置で仮組し、エンジンをフィットしてから本締めすることにしました。こうして書いておかないときっと忘れてしまいそうです。
考えてみればリアフレームもボルトオン、そのうえに独特のステップのブラケットも同じです。XVが結構重いのは、このへんも影響しているのではないかいなと思います。また一度分解してしまうと、正しく組み上げるには注意が必要と思いました。
この細さと非対称がなんともいい感じです。
リアバンク(1番シリンダ)を吊るゴムブッシュは固着もなく、インナーカラーごとすっと外れました。ゴムも弾力があってキレイでしたが、分解してみるとこんな風にほじくられたようなキズがあります(左右ともにありました)。この部品はまだ在庫があって、お値段も数百円で心がなごみます。
お次ぎはスイングアームとリアサスペンションなんですが、ここで作業が止まってます。減速比をロングに降りたいのと細いチェーンに換えようと思っていますが、部品探しに難航しています。JB店長さんの周到調査は大変参考にさせていただいています。私は標準の密閉チェーンケースを使いたいので前後スプロケともオーダーの可能性が高まってきました。そうすると今度は納期が問題になってきまして、今のところまだ結論は出ていません。
悩んでばかりでは作業が進まないので、とりあえず分解したままの気化器を組み立てることにしました。
私はできるだけ気化器のボディの連結は外さないようにしています。特にXVみたいにネジレの位置関係になってるのは、うまく組めるか??自信がないためです。分解はしたくないのですが、なんとかしたいと思うのがバタフライバルブシャフトの両端の潤滑です。ガソリンやコンディショナーの影響でガサガサになるような気がします。今回は時間があったので、シャフトが真上を向くようにボディを固定して、シャフトの上からピボット部にオイルを差してみました。隙間はほんのわずかで、じっと見ていても動きは分かりませんが、1日明けるとちゃんと染み込んでいました。
手前に写っているストレートさんのつっつき棒は何かと重宝します。特に左側の切りっぱなしの太いほうの先は、あまり代わりになるのがないですね。
かなり傷んでいる「50」がメインエアジョット、「175」がパイロットエアジェットです。この2つのジェットは全体がイモネジのようにボディに入っているせいか、とても強くネジが締まっています。最初に分解するときに、よほど相性のいいドライバがないと溝が変形してしまいます。刃先の幅に比べて、厚みが大きめのがよいです。
3つある穴(写真一番上は通り穴)の中央に50のメインエアジェット、下側に175のパイロットエアジェットがついています。この2つのジェットはキースターのキットには含まれていません。
常識的に考えたらパイロットよりもメインが小さいというのは???ですが、以前、逆に組んでみるとエンジンの回り方がえらくラフになっていまいました。2つを並べるとあまりの大きさの違いに分解したときのメモの間違いかも、と弱気になったせいでした。
パイロットスクリューはステンと真鍮のです。フロートバルブはラバーコート付きの純正品です。
ジェットはキースターのキットのを使ってます。
フロートレベルを15.8ミリを基準に合わせました。プラスマイナス0.2くらいには収まっていると思います。
これで調整が済んだ状態です。いろいろ考えた末、高さは、この写真の左側の一番高いところで測りました。中央部分で測るのとは0.3くらいは違います。
フロート調整をするときは、ちょうど目の高さになるこの棚に置いて、朝の明るいうちにやることにしてます。暗い所でかがんでやるのとは大違いです。
さてベロースは結構なことになっていました。こんなヒビが90度置きに4か所ありました。少々空気がもれてもそれなりには走りますが、もれないのがいいに決まっています。
この液体ガスケットでシールしました。両面になるべく薄く塗りました。
前にテストをやったことがあって、無難に使えていたので大丈夫だろうと思っています。
穴はこうやってチェックするとよく分かります。
ということで一応完成にしました。上側のネジは全部ホームセンターお取り扱いに換えています。純正のプラスでもマイナスでもというネジは、プラスで回そうとすると力を受けてくれる溝が半分しかないので傷みやすいのは仕方ないと思います。
ということでフレームに戻りました。もとのプランでは、駆動系の仕様を決めて新しい部品を組み付け用と思っていたのですが、実際に作業を始めてみるとことはそう簡単ではないことがだんだんわかってきました。まず、ドライブスプロケットがとても大きくて、クランクケースとのクリアランスはミリ単位です。反対に、内側もそんなに余裕はありません。密閉ケースはかなりシビアな寸法関係の上に成り立っていることが実感されます。なんどかやってみないことには実用的な状態にまで辿りつけないかもしれない、ということで、とりあえず標準状態で組み立てることにしました。
まずフレームを上下でくっ付けて、スイングアームを組んでリアサスを付けて、要は自立できる状態にしてホイールを入れました。
そこでエンジンを積もうかどうしようかなと思っていたところへむらかみさんが気配を察してかやってきていただいて、結局数時間お付き合いいただきました。
載ってしまえば下の写真のとおりなのですが、ここまで行くのに相当手こずりました。マニュアルには、フレームの後部のボルトを入れて、前を持ち上げて2番シリンダの上の三角形のブラケットのボルトで留める、そのあとで1番シリンダ両側のハンガーのボルトを固定するという手順になっています。
が、そのとおりにやってみるとまず2番シリンダのブラケットのボルトがうまく入りません。感覚的にはあと5ミリくらいエンジンが後へずれてくれないとダメな感じです。
タイベルトで引っ張ったりもしましたがてんで効果なし。結局、リアサスを一旦外して後をフリーにして、上下のフレームの固定も緩めて上側のフレームと2番シリンダのブラケットの位置を合わせてから上下のフレームを固定することにしました。ここまで来るのに2時間くらいは悩んでたかも?
左右方向にはかなりゆとりがあります。ボルトを締めたらなくなりますが、シムでも入れるのがいいかどか考えてしまいます。
エンジンの次ということで、メインハーネスを取りつけました。ぱっと見たところ、一番の課題は上の写真にもある2番シリンダのブラケットの隙間をクリアできるか?でした。ムリならも一度エンジン降ろすか、と試してみたらすんなりと片付きました。メインハーネスをいじっていると、一部にハーネステープに穴があいていて、配線の被覆が傷ついていたり、被覆に穴が開いて芯線までキズがついてるしまつでした。幸い、芯線の具合が悪いのがアースの線だったので、バイパスを確保することにして、キズの箇所をハーネステープで保護して対処としました。
事故融着性をうたうテープは強力絶縁が期待できそうですが、厚みが0.5ミリもあるので細い配線にはうまくフィットしません。普通のテープのほうは、電子部品屋さんとストレートさん、ダイソーお取り扱いのです。ダイソーのテープも悪くありません。この手のテープを使う際、引き出し部分がないとどうしても爪で張り付いているテープをめくって引き出し部分を作ることになってしまいます。必要なところに巻いた後、運が悪いと引き出し部分の接着力が悪くてはがれてくることがあります。それで、一旦引き出し部分ができたら、2センチほどテープを引き出して、最初の引き出し部分は切り捨ててやると新鮮な面から使えます。必要なだけ巻いたら切るときも引き出されたテープを次の引き出し部分だけ残しておきます。
気休め程度ですが、オスのコネクタは一応端子面を潤滑洗浄剤で拭ってほこりを取るようにしています。メスのほうは手が出せないのでホントにクリーンな接点になるかといえば?ですが、麺棒につく細かい泥状の汚れを見ると、できるところはやっておこうという気になります。30年間の積み重ねはあなどれません。
次は気化器の装着です。
ガスケット紙にキャブレタジョイントを当ててボールペンで外周をなぞってカッターナイフで切りぬいたら出来上がりです。ボルト穴は6ミリのドリルで開けてもOKですが、ダイソーかどこかで調達した皮細工用の6ミリのパンチできれいに処理できます。
気化器を装着する手順は、@気化器を固定するボルトの内側のをネジこんでおく A気化器を押し込む Bキャブレタジョイントを気化器に装着する。滑りやすいようにシリコンスプレーを吹いておくとやりやすい Cキャブレタジョイントを@でねじ込んだボルトにひっかけておく Dキャブレタジョイントとシリンダの間に、ガスケットを挟み込み、オープンエンドの側を@のボルトにひっかける 外側のボルトを締める こんな感じです。
キャブレタジョイントには何か所かに亀裂が生じていました。今のところ内側まで貫通していないですが、部品が出る間に買っておくのが安心です。
気化器の装着について。内側のボルトは横からの締めやすさで普通の6角ネジ、外側は早回しがしやすいということで6角穴ボルトにしています。内側のボルトを一番楽に回せるのが、スナップオンの細身のメガネレンチです。写真ではちょっと分かりずらいですが、裏返しで締めるとハンドルはうまい具合に障害物を回避してくれます。
駆動系はとりあえずそのままということにしたのですが、せっかく新しいほう(走行1万キロと少し)のチェーンを使うので、ドライブスプロケットも新しい方にしました。9万キロ使用後とどう違うかなとならべてみましたがまったくビミョーです。
いずれも右側が9万キロです。側面からみると古い方だけ当たりがついているようですが、新しい方も裏側は同じようになってます。どちらも車体外側に来る面を手前に向けたのですが、チェーンラインが少し違うのでしょうか?下の方の写真だと、むしろ古い方がピカピカに見えます。どうも製造時には細い溝が乗ってしまうのを、チェーンが均してピカピカにするようです。
この緩み止めも欠品です。これがなくても大丈夫かなとは思いながら、気持ちが悪いのでワイヤロックをしていました。今回は部品取り号のがうまく使えたので何年かぶりに復活しました。
駆動系ができると、ステッププレートを装着してリアフレームを固定できるようになります。ここまで長かった!
ステッププレートの裏側には繊維質の詰め物がしてあります(左側だけ)。いままでなんで?と思いながら過ごしてきました。
今回、関連の部品を眺めていて趣旨にたどりつきました。
答えは、密閉チェーンケースのブリーザー、ではないかと思います。
上の写真のパイプは、ドライブスプロケット軸の中空部分に入り込みます。で、外側は、
さっきの中空シャフトの外側のカバーに「ブリーザー」という部品がついています。万一、この経路を伝わってグリスが噴出した場合は、上の写真の詰め物がグリスをキャッチする仕組みのようです。
このあと新しいスタッドボルトを差して排気管をつけたらできあがり、で、さっそくエンジンを掛けてみました。ガガガ、ガッチャーン!(セルの音)ばっかりでなかなかエンジンがかかりません。プラグやガスのチェックをひととおり終えてから圧縮を見ようと上死点を探してたらバルブの動きが変なことに気が付きました。点火した直後から排気バルブが開いてしまいます。その瞬間に気が付きました。「カムシャフトの入れそこない・・・」
XVのカムシャフトは前後で仕様が違います。1番シリンダ(後)には1番のシャフト、2番シリンダには2番、です。
開けたらやっぱり違うのが入ってました。
エンジンがなかなかかからなかったおかげで、エンジンオイルはよく回ってました。これだけオイルがたまってると何かと安心です。
今回のミスのおかげで、カムシャフトやロッカーアームの差し替えはそんなに大変ではないということが分かりました。今回のように、前後のカムシャフトを差し替えるためにはカムチェーンが落ちないようにクランクシャフトを回す工夫(といってもだましだましちょっとずつ回すだけですが)が要りますが、単純にシャフトを差し替えるだけなら割と簡単そうです。多分2時間くらいで全部交換できるのではないでしょうか。
このあとはとりあえずアイドリングはするようになりました。が、今度は回りかたが単気筒風です。とりあえず吸入負圧を測ったら210と160でした。一応イーブンにしても様子はさほどかわらないので、オーバーフロー気味の気化器のチェックに合わせて、バルブクリアランスのチェックをすることにしました。
ついでに部品取り号の気化器もOHして、調子のよいほうを使うことにしました。こっちのPSはステンレスです。
6月の末にスイカの種をまいたら実がなりました。XVはもう少しかかりそうです。
オーバーフロー対策ということで、気化器を外して点検しました。もれていた後側のフロートチャンバーの4本の固定ネジの1本がかなり緩めでした。前側のフロートチャンバーも外して油面の点検からはじめます。フロートレベルは、前後ともセットした15.8くらいで揃っていました。ついでバルブの動作を確認するため、フロートチャンバを付けてバイスに気化器を固定してガソリン供給のパイプを付けて実際にガソリンを満たしてバルブの締まり具合を確認しました。フロートチャンバーが一杯になると臨時の供給パイプの油面が安定するので、まあそれほどひどくは漏れていないのであろうという判断にしました。
もとのフロートチャンバーは、片側のドレンプラグの頭のネジ山が崩壊していて抜けなかったので、スペアの気化器の部品を使いました。こちらもネジ山は傷んでいました。やはりプラスマイナス兼用ネジの弊害ではと思います。このままでは不安なので、思い切ってマイナスのネジ溝を金ノコで1〜2ミリ掘り下げました。あとの錆対策などを考えると褒められた方法ではないですが。この作業のおかげで実油面をスムースにチェックできました。前後ともいいところに収まっていまして一安心です。
見比べるとずいぶん形状が違います。作成時の金型の継ぎ目の位置が全然違います。内側に見える湯口の形状も違います。
左の2つが元の気化器ので、刻印は「C-4」です。右端が予備ので「C-1」です。
右側のC-1は側面に2本線、C-4は側面からは見えない前後方向に線があります。
組んでみるとオーバーフローは治まりました。やはり固定ネジの締め付け不足が原因だったようです。
エンジンを掛けてみると始動性良好です。回り方は、まだ単気筒っぽいような印象もありますが、スムースにふけるようになったのは確かです。
問題はしばらくXJばかりだったせいで、XVの回り方がよいのかよくないのか、自分の評価基準があいまいになっていることです。早く車検を受けて乗ってみるしかない?
やはり挙動がおかしいという判断で、前後のプラグを抜いて単気筒で回してみました。後だけだとスムースにアイドルして、スロットルを開けるとゆっくり、トントントン、という感じで吹けていきます。前だけにするとまずなかなかエンジンが始動できません。やっと掛かったらアイドルがやっとで時々止まりそうになる上に、スロットルをちょこっとでも開けるとパタンとストールしてしまいます。エキパイの温度も前側は低いです。
ということで、どうも前がおかしいという仮説を立てました。
今日は8月23日です。1週間前からあまり進んでいません。これまでの試行と失敗は次のとおり。
IGプラグを新しいのに交換 → 効果なし
イグニッションコイルを前後入れ替え:後のコイルで前を点火してみる → 効果なし 相変わらず調子悪い
PSを5回転までゆるめる → 多少は効果あるような?ただしアイドルが不調になる。
油面を上げる:15.8ミリから15ミリへ下げる → 効果なし
気化器を前後逆さまに付ける:スロットルケーブルがちょっと苦しいですが、付いてしまいます。 → 前シリンダ、後シリンダともスムースに燃焼 いい調子!
再度気化器を分解清掃 → 効果なし
という訳であまり進展がありません。
次の作業:気化器のインナーパーツを前後で入れ替え
ボディを入れ替えたら調子よくなったので、とりあえずインナーパーツを差し替えたらという案でしたが、ふと前後の気化器を連結するフレーム(パーツカタログに描かれているけど部品番号が振られていない=名前もなし))が前後逆さまではという疑惑が生じました。このフレームは、スロットルに合わせて上下するローラーのガイドレールの役割も兼ねています。部品取り号の気化器は、FとRの印字が、ほかの気化器コンプリートとは逆さまでした。
分解時に取り付けネジ 92501-06014 スクリュ、パンヘッドがドライバでは外れずプライヤのお世話になったので六角穴ネジに置き換えました。ほんの少し頭の高さが高くなります。着脱時には結構ここが当たってジャマですが、だからといって外れないほどではないですが。
このフレームは単体では点対象に見えてましたが、実際に気化器を前後で入れ替えると揃えてあった同調が大きくズレていました。もともとこのフレームと上側のY字型のフレーム(これも部品番号がありません)で左右を固定しているので、分解したのが原因かもしれませんが、もしかしたらフレームには向きがあるのかもしれません(目視やちょこちょこノギスで当たった結果からは向きはないように思えるのですが)。
フレームの向きをフツーにした上(上の写真はやり直し後です)、インナーパーツを入れ替えた結果は、改善されてませんでした。この段階でキースターの燃調キットが届いていたので、とりあえずパイロットジェットを46番にしました。これでかなりマシになって、スロットルを開けていくとボコッボコッというひっかかりが出てたのはほぼなくなりました。スロットルオフでパスンパスンという不整爆発が出るのまでは改善されなかったので、傾向調べでPSを1回転緩めて3.5回転戻しにしたら「パスンパスン」は相当マシになりました。
この結果、なんとか自走できそうな雰囲気になってきたので車検に行きました。京都は京都市伏見区の陸事支局と、久御山の南検査所の2か所で検査が受けられます。どちらも20分くらいで行けるのでベンリでよいのですが、このへんもバイクが増える素因のような気もします。今回は名義変更が必要だったので支局へ予約を入れましたが、ラインのお兄さん方がいい感じで私は南検査所のファンです。
仮ナンバーを付けて、陸自へ向かって走り出したら笑いがこみあげてきました。爆発のパルス感が明瞭で1200回転くらいから使えます。えらく単気筒チックで以前はもうちょっとブーンと吹けていくエンジンだったような記憶です。まだ気化器かなにかが本調子でないような気もしますが、楽しいエンジンです。ハンドリングもXJとは大違いで、寝かした状態でクルッと回り込んでいきます。フラットなXJとは一番違うところです。路面の悪いところを走ると、例えばXJに対するモノサスのよさが体感できます。当時、出力はXJマイナス10馬力なのに、1割以上高価な値段をつけたのはなかなかの冒険だったのではと思います。
不安なく走れるまでにはなりましたが、スロットルオフにしたときの回転の落ち具合や、パーシャルで一定の速度で走っているときにハンチングが出たりするのが課題として残っています。キースターの燃調キットには薄くも濃くも出来るパーツがセットされているので、もう少し詰めてみようと思っています。
・・・ということで、しばらくPJとニードルを順列組み合わせ的になぶってましたがどうも結果が不安定で、再現性がなかったりで、ナニかおかしいという疑惑が生じてきました。いろいろ試しているうちに、ダイヤフラム下側のフィルタを外すと状態が安定することが分かりました。標準状態でも、気化器からパイプでエアフィルターを通じてフレームの配管につながっていてダイヤフラウ下側に大気圧を掛け続けているハズなのですが、大気開放にするとすごく安定します。試しにフレーム側のパイプに延長ホースを付けて、おそるおそるゆっくり(ナニが飛び出すかまったく???ですので)吸ってみると結構抵抗がありました。もしかしたらゴミとか虫の巣かも?エアブローすることも考えてみましたが、回りまわって気化器に入っていしまいそうな気もして、とりあえず現状維持で行こう?という中途半端な保存療法を選択しました。
不安定要因がなくなったところで、せっかく燃調キットにイロイロ入っているのを活用しましようという趣旨でメインジェット、ニードル、ニードルジェット(メインジェットのホルダ)とスロージェットを全部キットのパーツに入れ替えました。中古部品故の詰まりや摩耗をリセットした方がいいに決まっています。とりあえずは標準状態ということで、ニードルは「S」を、PJとMJは標準、PSは2.5回転戻しで走ってみました。
スロットルオフ時のパスンパスンが少し残るものの、ほかは至ってフツーに走ります。そこで気が付いてXV920のデータシートを参照したら、PJは750Eと同じです。20%も排気量が違うのに!(気化器よりも上流側に違いがあるかもしれませんが)パスンパスン対策でPSを4回転くらいまで緩めたりしましたが解決には至りませんでした。その上に、以前の濃い目モードに比べると、乗ってもあんまり面白くないというのが問題です。
ということで、PJは46番にしました。当面PSを触りながら、ダイヤフラム下の対策を進めていこうと思っています。IGプラグはこんな感じです。
気化器の脱着に疲れてちょっと横着を。重なると助かります。フロートチャンバの留めネジは、アタマが普通の+の、ほかのナニかのに交換しています。オリジナルのようにワッシャが入っていて使い勝手も良いです。
フロートチャンバにつけているパイプはチャンバのガソリン抜きです。チャンバのプラグもキースターキットに入っていまして、ぴったりオンオフできます。真鍮製のようです。
箱のキーを紛失してしまい、2代めへの引き継ぎ式をしました。これまでいろんな箱を試しましたが、今のところコレがベストです。使い勝手、丈夫さ、お値段さ、(ある程度)見た目などなど、カブのような箱です。色も含めて、外見もXVにベストマッチと思っています。これまでがんばっていただいた初代はガレージのイスになりそうです。
転ばぬ先ということで、ちょっと対策をしました。
ちょっとピンボケですが、中央のピボットピンの頭を加熱変形させて抜け止めしています(針がねをライターであぶりました)。買った状態だとフタが左へスライドして外れるようになっていまして、サイドスタンドで止めてフタを開けた状態にしていると、振動でフタが外れて地面に落ちてしまいます。コレで1個目のフタはキズだらけ。ご指導いただきましたeiichiVRさんに感謝です。
こちらはロックの裏側についてる21ミリの薄手のロックナットです。使っているうちに緩んできがちです。脱脂して接着剤で回り止めをしてみました。
固定は、キャリアの上にコンパネを針がねで固定し、その上に箱をベルトで固定してあります。後側のベルトをテールランプケースの前側に回してあって、これで前後方向にテンションを掛けています。コンパネはカンタンにでも塗装しておくと傷み方が違います。
ということで無事路上復帰できました。
末永く無事に走り続けてくれますように! (おしまい)